「居酒屋」倒産が過去最多、初の年間200件超も ~ コスト増と価格競争、消費税減税で増加懸念 ~
「居酒屋」の倒産に歯止めがかからない。2026年1-9月は167件(前年同期比32.5%増)となり、1989年以降で過去最多だった。年間でも2024年の185件を大幅に上回るのは確実で、初の200件超えも視野に入る。食材高騰や酒類値上げに加え、人件費や家賃などのコストも上昇し、コスト吸収余力の乏しい小・零細の居酒屋が苦境に直面している。
「物価高で居酒屋に行く回数が減った」との声も聞かれる。2027年4月からは食料品の消費税減税による価格差で割高感の増す居酒屋への影響に目が離せない。
2026年1-9月の「居酒屋(酒場・ビヤホール)」倒産(負債1,000万円以上)は167件に達した。同期間では、2025年が126件、コロナ禍前の2019年は98件だった。
167件の原因別は、販売不振が150件(構成比89.8%)と約9割に迫り、他店との競争や値上げによる顧客離れが深刻化している。
従業員数は、5人未満が151件(構成比90.4%)で、小・零細規模に集中している。
統計を開始した1989年以降、「居酒屋」倒産は、バブル前後は「居酒屋ブーム」もあり、年間30件前後にとどまっていた。ブーム終焉や他業態との競争、景気低迷などで、2003年は60件台に増加。2006年以降は、低価格や均一価格などが主流になり、2007年は111件、東日本大震災後の2012年は141件に増えた。
景気回復やインバウンド需要などが寄与した2016年は85件に減少した。コロナ禍の2020年は174件に急増したが、ゼロゼロ融資などで2022年は120件に減少。
だが、資金繰り支援の段階的な終了や、物価高の加速などで2024年は過去最多の185件に大幅に増えた。

消費税減税の影響は
10月1日の酒税改正で減税されたビールを中心に、大手チェーンは酒類の値下げキャンペーンで集客を図ってる。一方で、酎ハイの値上げや酒類の価格競争に巻き込まれる小・零細規模はさらに経営が厳しさを増す。
2027年4月から飲食料品への消費税減税が2年限定で施行される。外食(店内飲食)は10%維持、食料品やテイクアウトは8%から1%に減税。小・零細規模の「居酒屋」は、テイクアウト対応はノウハウ、人員、投資面で容易ではない。
コロナ禍の事業再構築支援では、多くの飲食店がテイクアウトに取り組んだ。しかし、レッドオーシャン化も引き起こした。
消費税減税による消費者の行動変容、家(宅)飲み派が増えるのか、同業他社はどのように動くのか。倒産増が続く「居酒屋」は試練の時を迎えている。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年10月7日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)